April 23, 2018

「もしできたら…」と口にしようと思ったのに。

テレビ番組で
ふわふわもこもこの犬に
10人ぐらいの人がワーッと近寄って行く様子を見ていて

「ふぅ…」と思わずため息が出たことがあります。

取り囲まれるのも
駆け寄られるのも
苦手なコと暮らしている飼い主さんは
その画を見て
「うらやましい」と感じたでしょうか。
それとも
「犬がかわいそう」と感じたでしょうか。

私はなんとなく
自分がその場にいたら
とりあえず、オロオロするだろうなぁと思いました。

そして、実のところ
3年ぐらい前にオロオロしたあげく、すごく恥ずかしい思いをしたことがあります。

大きな公園をお散歩中のことでした。
相棒犬が前方から近づいてくる5人組の男女を見て
わっしわっしとしっぽを振りました。

「わーかわいい」
女性のひとりが声をあげ
5人が同時にこちらを向きました。

グループメンバー全員が犬好きだったのか
目線を犬に向けたままずんずん近づきます。
思っていたよりも歩調が速いグループです。
あっなんだか大きい荷物も背負っています。
男性のひとりはかなりの長身です。

「あっ…これはうちの犬が身構える(そして吠える)からよけよ…」と
道の端に移動しようとしたちょうど2秒後に
相棒犬が「うぎゃー」と響き渡る声で雄叫び(のように私には感じました)をあげました。

焦った私はつい
「前に立ちはだかっていると吠えます」と
口にし、それから赤面しました。

それから
「うちの犬怖がりだからしゃがんでもらえると助かります」

と頼みました。たぶん消え入りそうな声でした。

「かわいい」と最初にこちらに気づいた女性は
気を悪くする様子もなく
「そっかー怖がらせてごめんね」
としゃがんでくれました。

耳を後ろに倒しながら
寄っては離れる相棒犬はぴょこたんぴょこたんという
効果音が聞こえそうなほど
落ち着きがありませんが

その女性は、相棒犬が落ち着くまで
相棒犬のことを触らずに
根気よく待ってくれました。

その後
おしゃべりする間は
犬も私も穏やかでした。

が…、今でもその時のことを思い出すと
ちょっぴり赤面します。

犬も焦ると「うぎゃー」と雄たけびますが
人間も焦ると失礼な言い回しを口にしがち。

犬のトレーナーとして
というよりも
犬のいち飼い主として
どんな場面でも焦らない、平常心を保ちたいものだとその時を振り返ります。
(と言いつつ、私は今でもよくオロオロしてます。)

April 9, 2018

その交換ちょっとまった!

ジャイアン
「おい、そのラジコンかっこいいじゃないか。この小さなロボットと交換しようぜ」

スネ夫
「ジャイアン…ぼく、本当はそんなロボット欲しくないけど…わかった、いいよ」

目の前でそんなやり取りがあれば、きっと
「それは交換とは呼ばないよね」
と思うはず。

でも、犬が畳んだ洗濯物にイタズラしている時、私達はうっかりジャイアンになっちゃっている可能性があるって言われたら…。

私なら当然いい気持ちはしません。

だって、犬の雑誌に
「洗濯物をくわえた犬は、追いかけないで、おやつと洗濯物を交換しましょう」
って書いてあったし。

パピークラスの先生に
「犬は物を取り上げると、執着しちゃいがちだからおやつと交換してみてはどうですか?」と言われたし。

おやつと交換するのが何がいけないの?
そもそも、犬に「やさしい」しつけを目指しているのに、「ジャイアンになっている」だなんて、とんだ言いがかりだと感じるかもしれません。

もしくは
おやつと交換しようとしたのに、犬が逃げて交換どころじゃなかったという飼い主さんももしかしたらいるかもしれません。

どうしてそういう状況が起こるのでしょうか。

実は「おやつと交換」にはふたつのコツがあるんです。

1つ目はなるべく犬と対面にならないようにすること。
洗濯物を持った犬を見て
「洗濯物を返してほしい」という気持ちが全面に出ていると
犬の真正面に立ち
つい犬をじっと見つめて「交換」しようとしがちです。

飼い主の「真剣さ」を
犬が「威嚇」と勘違いして身構えてしまい
「交換」が不成立に終わることが多々あります。

2つ目のコツは
イタズラしていない時に「物を放す」練習すること。
物を拾っていないのに、いったい何を練習するんだろう…と疑問に思われた方もいると思います。

そもそも
「困っていない」時の練習方法よりも
「困った」時の解決方法が知りたい
と思うのはごもっともです。

ですがここで一考。
困っていない時の練習の方が
犬にとってわかりやすい。
それから習得にかかる時間が短くて済みます。

そして、どんなに「困った行動」をするワンコも
24時間ずっと困った行動をとっているわけでありません。

交換でも
物を放す練習でも

もしも今うまくいっていないのであれば
まず練習するタイミングを見直してみるのはいかがでしょうか。

March 26, 2018

足を捻挫して、坂道で腹が立った。

ひと月前に、足を捻挫しました。

恥ずかしながら
平坦で
見通しの良い
何も障害物もない道で
転びました。

動けないわけではないけど
びっこを引きながら動く2週間。
その後の2週間は普通に歩けるけど、ちょんとした拍子に痛みが走る足。

自分が思っていた以上に不自由に感じました。
いつもなら3分でできることが10分かかったり
階段の下りがすごく怖く感じたり。
バリアフリー用の坂道の傾斜が急だと、怒りさえ感じました。(これは、バリアフリーなんかじゃないやい!と怒っていました。)

何よりつらかったのは、座れないこと。
正座が無理なことは分かっていても、足を崩して座ることができないのは驚きました。
椅子がない場所で座ることがこんなにつらいなんて、想像してもなかった。

犬を連れて走ることだって、ままならない。
ロングリードで犬を走らせてやりたいと思っても
足が踏ん張れない状況では当然ながらロングリードも使えません。

足にサポータ―を巻いて、お客さんのワンコさんと歩く時も
1歩1歩がかなり慎重にならざるを得ませんでした。

それから、足が痛いとしゃがむのって怖いです。
痛いのではなくて「怖い」。
特に治りかけの時には「しゃがめると思うけど痛いかもしれない」という葛藤が生じてうーっと唸ることになります。少なくとも私に関しては。

足のケガがある前から
私はトレーニングの時に飼い主さんに「無理が生じない」ようなトレーニングを心がけていたつもりでした。

でも私が「マテ」の練習をするときって「人がしゃがむ動作」が基本入ります。
子供さん相手に犬と挨拶の練習をする時も「しゃがんでくれる?」と頼むことが多い。

そんなこんなで
飼い主さんがしゃがまないでも
「マテ(その場に落ち着いて止まる)」を上達できるステップを見つけなきゃ!

子供がしゃがまないでも
犬が脅威に感じないような挨拶を考えなきゃ!

とトレーナー馬場は新しい課題に直面中です。

February 27, 2018

こいぬといっしょに。50

ユーミーどうぶつ病院の2月のパピークラスです。

二度目ましての
ダックスフントのまるちゃん
オスワリが上手。
今日は、ふわふわのオモチャも飛びつかずに遊べました。
ママがお散歩がんばってるので、リードで止まることも上達してます。

二度目ましての
トイプードルのももちゃん。
嬉しいポーズでコングに取り組み中。
先月に引き続き、お姉ちゃんと一緒にお勉強に来てくれました。


今日は先に遊んでから
身体チェックの練習をしました。

お腹チェック
耳チェック
上唇をびろーんと持ち上げてみる
足先を触わってみる。
犬にとっては、本当は変な「お手入れ」や「診察」に慌てないための練習です。

最初からできなくても、決して慌てないで下さい。
どれも、1秒1秒の積み重ねなだけなんです。

ただし、お手入れ練習が得意な子もそうでない子も
【練習終わり】は犬にとって印象に残りやすいので
いい形で終えるように意識しましょう。

落ち着いているのを確認して
ママが掛け声をかけけてから
お膝からゆっくり降ろすように心がけてみて下さいね。

まるちゃん、ももちゃん、おつかれさまでした!

February 20, 2018

嗅覚を通した学習

「ノーズワーク」という言葉を知ったのは
10年前。
まだ、私がアメリカにいたころでした。

私が勤めていた子犬のデイケアの会社に
いたトレーナーさんが
ノーズワークのクラスを教えていました。

その時は

なんだか専門的なトレーニングみたいだなぁ。
家庭犬のトレーニングとの接点ってあるのかな?

ぐらいにしか思わず
見学しても、いまいち理解できず
「何の役に立つんだろう?」と首を傾げていました。

今思えば
仔犬のデイケアの仕事と
聴導犬のトレーニングのアシスタントと
シニアドックのレスキューの給餌と散歩
で手一杯だった私は
何か新しいことを吸収する余裕がなかったのだと思います。

また、仕事に余裕ができてきてからも
私自身
ルールや細かい手順を
覚えていくのが苦手だったため
「ドッグスポーツ」と言われるものからは
遠ざかっていました。

そんな私が
今楽しいと思うドッグスポーツがあって
相棒犬のトレーニングにも
訪問レッスンにも
取り入れています。

それが「ノーズワーク」です。

犬が得意とする「鼻を使った作業」であるノーズワーク。
もしかすると、本や雑誌などで目にした方も多いかもしれません。
検索すれば、ノーズワークの動画もいくつも見つかるので
自主学習もきっと可能です。

ただ、始める前に少し注意点を抑えておくと
きっともっと楽しめます。
具体的には2点。
---------------
1.安全に行うこと
2.犬にとって「わかりやすい」レベルアップ(レベルダウン)を飼い主さんが知ること
-------------

1については、ここでは詳細を割愛しますが
トレーニング時の「安全性」は
なによりも大事な項目です。
もし、咬傷事故や拾い食い、逸走などの問題があるのであれば
トレーナーと一緒に行った方が楽しくできると思います。

では、あえてこのコラムでノーズワークを紹介した理由は
犬にとっての「わかりやすい」ことについてお話したかったからです。

犬にとって「わかりやすい」とは
人が「犬が自然にとる行動」をトレーニングの目標にすること

私が現在勉強中のノーズワークは
最初のステップでは「犬の自発性」に重きを置いています。

具体的に言うと
「食べ物を探す」行動からスタートします。
ただし「難しい(探しづらい)」場所には決して食べ物を隠しません。

・犬が見つけやすい場所
・犬が取りやすい場所
に食べ物を置くと
犬が「スムーズに見つけて、見つけたものを獲得する」
経験を積むことができます。

ここまで読んで
「簡単な作業でスキルが伸びるの?」
と疑問に思われた方もいるかもしれません。

もしくは
「食べ物を探す作業をしたら、食べ物に過剰に興奮するのでは?」
と心配される飼い主さんもいるかもしれません。

犬にとって
取りやすい場所にある食べ物は
犬は飛びついて取る必要がありません。

犬にとって
わかりやすい作業であれば
作業後に犬は落ち着きます。

難しい作業を「犬ががんばって」やると
一見作業に集中しているかのように見えることがありますが
犬にとって負担が大きいため
作業後に落ち着かない傾向があります。
ずっと食べ物を探し続けたり…
食べ物の気配に吠え続けたり…。

つまり
楽しいノーズワークをしていくためには
「犬にとって、どういう行動を自然か」
「どういう時楽しいのか」
「どういう時にイライラするのか」
を学んでいくことも大事です。

ノーズワークは段階的にレベルアップします。
フードを置く箱を活用し
レベルアップの手順が
「可視化」しやすい仕組みになっています。

「可視化」つまり「見える化」の役割は
トイレトレーニングをがんばった飼い主さんはご存知かもしれません。
実は「見えているもの」は、必ずしも「現状がわかること」ではありません。

トイレの失敗状況を例にすると
飼い主さんが「○○だからトイレを失敗する」と感じる時に
それが、必ずしも本当の原因ではないこともあります。
だから、対策を講じているはずなのに、なかなか失敗が減らない…。

そんな時は
シンプルに
・トイレした時間
・トイレした場所
だけを1週間キロクし、少し間をおいてそのキロクを見直してみて下さい。
「もしかすると、〇〇を変えたらうまくいくかもしれない!」
とうまくいくきっかけが見つかることが多々あります。

ただし、この「見える化」って実はちょっとめんどくさい。
(トイレのキロクも、最初やっぱりちょっとめんどくさいです)

話しをノーズワークに戻しましょう。
私はノーズワークのレベルアップの仕組みは
「犬にとって何がわかりやすいか」を「人に」わかりやすくするための
「見える化」なんじゃないかなと思っています。

10年以上ノーズワークを続けてこられたトレーナーさんたちが
作り上げてきた、すてきな仕組みです。

最後に余談ですが、ノーズワークと
脳と関わりも、少しおもしろい。

見て学んだこと
歩いて学んだこと
とは、ちょっと異なり
嗅覚を通して学んだことは匂いとセットになって「海馬に蓄積」されます。
ノーズワークの楽しかった体験は、記憶として鮮明に残りやすいそうですよ。

ちなみに、私は玉ねぎと卵のお味噌汁の香りがすると
祖父母の住んでいた京都の古い家を思い出して
ちょっとやさしい気持ちになります。

ノーズワーク後の相棒犬のすがた。
これは、落ち着いていると言えるのかな?
まぁ…うれしい時の表現ではあるんです。

参照文献:
------------------
ざんねんな脳
ディーン・バーネット(著)
増子久美(訳)
青土社(出版)2017年
(p163-166)
------------------